便利と使い易い
あれも出来てこれも出来て便利なものと、使い易いものというのは別ものだと思います。
とはいえ、便利で使いやすいものを望むのは自然なこと。
かといえ、望めば必ずしも両方を満たせるというわけではなく、どう違うのか考えてみます。
例えば、何でも出来て便利だからと、普段の食事も十徳ナイフのスプーンとフォークを使うという人はいないと思います。
一つあればいざというときに困らないからと、十徳ナイフを持っているかもしれませんが、日頃使うものは普通のスプーンとフォーク。
なぜ、便利なのに十徳ナイフを使わないんでしょう?
それは、日常的に使うものであれば、ストレスの少ないものを好みます。
目的が決まっているのであれば、それに合わせて洗練されたものの方が使い易く、便利なものよりも使い易いものが優先されます。
次に、身近なもので箸というものがあります。
箸は、切る、割く、つかむ、運ぶ、刺す(これは行儀が悪い!)と万能の食器です。
使い慣れてしまえば便利ですが、誰もが初めから使えるわけではなく、学習と慣れが必要です。
日本人のように日頃から使っている人は、いろいろな使い方も出来ますし、ストレスもあまり感じません。
つまり、便利で使い易いものには熟練度が要求されます。
便利と使い易いに熟練も入れることで、両立できそうです。
では、十徳ナイフと箸の違いなんでしょう?
また、スプーン・フォークと箸の共通点は?
十徳ナイフは10個の目的に対し、10個の機能を持たせたものです。
箸は一つの機能を複数(さすがに10個は無理だけど5個ぐらい)の目的に使えます。
スプーン・フォークは一つの目的に一つの機能です。
つまり、使い易いというのは機能のシンプルさに依存した話であり、便利というものは複数の目的に対しての話です。
便利で使いやすいというには、一つの機能で複数の目的に使えるために、機能の汎用性と使用者の応用力と熟練度を要求します。
また、機能がシンプルなだけに目的の適用範囲には限界もあります。
一方、目的に合わせて多機能になったものは確実にその目的をこなせる為、便利ではありますが、使い辛いものとなります。
とまあ、ここまで書いてみて、僕はシステム屋なので、システムの話に置き換えてもらえると面白いかなとw